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ムヒカ氏(ウルグアイ元大統領)引退に想う。

「世界一貧しい大統領」といえば、特に日本では有名だと思うが、

ウルグアイの元大統領、ムヒカ氏が引退した。


一冊私も持っているが、この貧しいという言葉には少々違和感を感じている。



この本にも色々と彼の反省、考え方についてインタビューも交えながら書かれているが、

まず、ムヒカという人物について軽く触れると。


貧困層やマイノリティの側に立った政策を推し進めると共に、必要最低限の報酬以外の収入(9割とも)は、全て寄付。

職務の合間にはトラクターに乗って自ら農業に勤しむ。


若い頃は元ゲリラで逮捕歴で収監歴もあり、大麻の合法化なども進めた人物。

風変わりでありながら、自然体で大統領という重責を担った人物である。



そんな彼の有名なスピーチがこちら。



このスピーチが世界に感動を与え、ムヒカは2013年、14年とノーベル平和賞にノミネートされた。


彼の残した言葉で、日本への印象について尋ねられた時に答えた特に印象的な言葉があるので抜粋したい。





 ――日本訪問の1カ月前、ムヒカさんは私の取材に、「日本のいまを、よく知りたい。日本で起きていることのなかに、未来を知る手がかりがあるように思う」と話していました。実際、日本を訪ねてみて何か見えてくるものがありましたか?


 「ひとつ心配なことがある。というのは、日本は技術がとても発達した国で、しかも周辺には労働賃金の安い国がたくさんある。だから日本は経済上の必要から、他国と競争するために、ロボットの仕事を増やさないといけない。技術も資本もあるから、今後はロボットを大衆化していく最初の国になっていくのだろう。ただ、それに伴って、これから日本では様々な社会問題が表面化してくるだろう。いずれ世界のどの先進国も抱えることになる、最先端の問題だ。確かに、ロボットは素晴らしいよ。でも、消費はしないんだから」


 ――日本では道行くたくさんの人から声をかけられていました。日本の人々について、どんな印象を持ちましたか。

 「とても親切で、優しくて、礼儀正しかった。強く印象に残ったのが、日本人の勤勉さだ。世界で一番、勤勉な国民はドイツ人だと、これまで思っていたが、私の間違いだった。日本人が世界一だね。たとえば、レストランに入ったら、店員がみんな叫びながら働いているんだから」


 ――どこか印象に残った街がありましたか。


 「京都だ。素晴らしいと思った。日本はあの文化、あの歴史を失ってはいけない。ただ、京都で泊まったホテルで、『日本人はイカれている!』と思わず叫んでしまった夜がある。トイレに入ったら、便器のふたが勝手に開いたり閉じたりするんだから。あんなことのために知恵を絞るなんて、まさに資本主義の競争マニアの仕業だね。電動歯ブラシも見て驚いた。なんで、あんなものが必要なんだ? 自分の手を動かして磨けば済む話だろう。無駄なことに、とらわれすぎているように思えたね。それに、あまりにも過度な便利さは、人間を弱くすると思う。とても長い、独自の歴史と文化を持つ国民なのに、なぜ、あそこまで西洋化したのだろう。衣類にしても、建物にしても。広告のモデルも西洋系だったし。あらゆる面で西洋的なものを採り入れてしまったように見えた。そのなかには、いいものもあるが、よくないものもある。日本には独自の、とても洗練されていて、粗野なところのない、西洋よりよっぽど繊細な文化があるのに。その歴史が、いまの日本のどこに生きているんだろうかと、つい疑問に思うこともあった。


 ――2015年に大統領を退いてから訪れた国で、人々の反応は日本と同じでしたか。

 「退任後に行ったのはトルコ、ドイツ、英国、イタリア、スペイン、ブラジル、メキシコ、米国だ。行った先で私はよく大学を訪れる。年老いてはいるが、なぜか若者たちとは、うまくいくんだ」
 「そこで気がついたんだが、どこに行っても、多くの人が幸福について考え始めている。日本だけではない。どこの国もそうなんだよ」
 「豊かな国であればあるほど、幸福について考え、心配し始めている。南米では、私たちはまだショーウィンドーの前に突っ立って、『ああ、いい商品だなあ』って間抜け面をしているけれど、すでにたくさんのモノを持っている国々では、たくさん働いて車を買い替えることなんかには、もはや飽きた人が出始めているようだ」

――人々が幸福について考え、心配し始めているのは、なぜでしょうか。

 「おそらく、自分たちは幸せではない、人生が足早に過ぎ去ってしまっている、と感じているからだと思う。昔の古い世界では、宗教に安らぎを感じる人もいた。だが世俗化した現代では、信心がなくなったから」

 ――「世界幸福度ランキング」だと、日本は53位だそうです。

 「東京は犯罪は少ないが、自殺が多い。それは日本社会があまりにも競争社会だからだろう。必死に仕事をするばかりで、ちゃんと生きるための時間が残っていないから。家族や子どもたちや友人たちとの時間を犠牲にしているから、だろう。働き過ぎなんだよ。もう少し働く時間を減らし、もう少し家族や友人と過ごす時間を増やしたらどうだろう。あまりにも仕事に追われているように見えるから。人生は一度きりで、すぐに過ぎ去ってしまうんだよ。


本当の幸せな生き方とは



日本人はとにかくよく働く。


先日深夜横浜の野毛で食事した帰り、桜木町の景色をみながら歩こうと妻と散歩していた。

ビル街は、ポツリポツリと灯がついていて(この時点で23時半くらい)、

「働くなー」と関心した。


この関心こそが当たり前に根付いてしまった働き者こそ偉いという勘違いである。


自然体にあるがままに生きるムヒカにとって、日本人の姿は不思議に写っても仕方ないかなとも思う。



年に1回、妻と夫婦で、

様々な国へと1週間ほどのんびり旅をしている。

そもそものコンセプトが、私たちが結婚したのが30歳(妻は私の3つ上)の時。

20代を振り返ってみると、お休みはほぼ、お盆と正月くらい。妻は正月も働いていたらしい。


いつか将来が充実したものになればと働きまくった。そして失ったものがあまりにも多すぎた。

特に貯金すらない時代だったので残ったものは、根性であの時頑張ったよなーっていうどうでもいい思い出話ばかり(笑)


30才になり、今の妻と出会い結婚し、人の時間を意識し始めた時に感じたこれまでの社会に出てからの10年の虚しさ。


日帰りでも貧乏旅行でもいいから、今の生活以外の世界を見にいこう。

こうして始まったのが、たまの休みに視野を広げるための旅行である。


5年かけて、全国全ての都道府県を制覇し、年に1回最安の方法で行く海外旅行。これが本日まで続いている。




特に世界を歩くと、その度に感じる「日本の素晴らしさ。」

それは、人もそうだがそれ以上にサービス面においての完璧さ。

交通機関はほぼぴったり動いており、要所要所に無料のサービスが充実し人の親切も疑うことをほとんど知らない。それが私たち日本の社会である。


しかしながら、海外に出ると「親切さにすら金を取られた」。

夜行列車で車掌が途中で帰っちゃって不在になった。飛行機の大幅遅延でプチパニック。などなど。





世界を中心に物事を見た時に、自分の視野が世界基準では正しくないのかもしれない。と思うことがある。そして、その本来の当たり前に気づいた時にこそ、

本当の生き方というのは見えてくるのかもしれない。


私たちの次の目標は、せかせか歩かないくらいのんびりとした生き方であるが、

紆余曲折を経て行き着いた、ムヒカ氏の生き方、考え方は、共感できる大切な言葉が多く隠されている。


世界一貧しい大統領、、ではなく

世界一質素に幸せな生き方を知っている大統領。


世界に多くの気づきを与えてくれたムヒカ氏の功績と言葉、メッセージを私たちは忘れてはいけない。


引退お疲れ様でした。そしてありがとう。




 

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